スパイダー・ゲーム ジェフリー・ディーヴァー&イザベラ・マルドナード著

 リンカーン・ライムやキャサリーン・ダンスシリーズの作者ディーヴァーが、元警官のミステリ作家マルドナード(残念ながら邦訳された本はまだない)と合作というカタチで始めた「新しいシリーズ」である。主人公バディは国家安全保障省の捜査員カーメン・サンチェスと、過去の腐れ縁から彼女とコンビを組むサイバーセキュリティの専門家ジェイク・ヘロンだ。

 ある日カーメンの歳の離れた妹セリーヌが暴漢に襲われる。姉にしこまれた護身術を使って撃退した彼女は相手の腕に珍しい蜘蛛のタトゥーがあることを記憶、ついでに犯人の携帯電話を奪っていた。その携帯電話には暗号化された3つのファイルが残っていたが、当局のサイバー犯罪課は多忙で解読にかかれない。そこでカーメンが思い出したのは4年前FBIに所属していたころ逮捕したハッカー、ジェイク・ヘロンだった。

 カーメンの訪問を受けたヘロンは当然のごとく協力を渋るが、ファイルの暗号を調べて気が変わる。それは非常に特殊なコードで、彼のハッカー魂を刺激した。どういうツテか日本の誇るスーパーコンピュータ「富岳」へのアクセス権を持つ盟友アルーバの助けを借りて3つのうち2つを解析。それらは写真で1枚はセリーヌ、もう1枚に写った不動産業者は…前日殺害されていた。

 これを連続殺人と判断したカーメンは妹セリーヌをホテルに匿い、1人目の死体が発見されたサンディエゴに向う。現地の警察署を訪ねると、驚いたことにそこにはヘロンが先回りしていた。この事件の捜査には自分が必要だ、と言い張る彼に閉口しつつ、しかし徐々にそれが動かし難い事実であることを思い知らされて行くカーメン。この二人が徐々に「バディ」になっていく描写はなかなか読ませる。

 アイディアはアガサ・クリスティのイタダキだが、趣向が違うので「パクリ」という感じはしない。カーメン、セリーヌ姉妹の父親の死にまつわる謎を遺してシリーズは続くらしい。楽しみである。


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