イギリス、カンブリア州と言えば地質時代カンブリア紀の由来にもなっているイングランド北西部のカウンティである。この地方に数多あるストーンサークルで、老人が次々と焼き殺されるという事件が発生する。一人目は盗聴記事で名を馳せた元新聞記者、二人目は大規模な農場経営者で三人目は保守党の有力議員だった。
彼らは皆全裸で杭に縛りつけられ、全身に燃焼促進剤を塗りたくられ、そのうえ切除された自身の性器を口に押し込まれて黒焦げにされていた。その死体の映像を精査した国家犯罪対策庁の分析官ティリー・ブラッドショーは、三人目の死体に刻みつけられた犯人からのメッセージを発見する。
それはある事件の捜査で問題を起こし現在停職中の重大犯罪分析課の刑事の名前だった、ワシントン・ポー。停職処分を食らったのを期に、湖水地方に入手した小屋で隠遁生活を始めようとしていたポーは突然呼び出されて停職を解かれ、かつての部下フリンの指揮下でこの事件の捜査に加わることになる。
このポーの相棒となるのが、彼の名前を発見したティリー。IQ200、オックスフォードで最初の学位を得たのが16歳、修士号ひとつ、博士号をふたつ持っているが社会性ゼロで融通が利かず、職場ではいじめやからかいの対象になっていた…。
このティリーのキャラ設定がいい。主人公ポーはミステリの探偵役として珍しいキャラではないが、ティリーとコンビを組ませることで男女ながら「アストリッドとラファエル」みたいな雰囲気を醸し出してこの事件の悲劇的な結末を多少救っている…と思う。この捜査チームの活躍はシリーズになっているらしい。楽しみだ。
