ハンティング・タイム ジェフリー・ディーヴァー著

 懸賞金ハンター、コルター・ショウを主人公としたシリーズの第四作め。前作「ファイナル・ツイスト」(邦訳は2022年発行)で、父アッシュの死を巡る一連の事件は大団円を迎え、これでこのシリーズはお終いかと思ったのだが、リンカーン・ライムともキャサリン・ダンスとも毛色の違うこのキャラクター、それはちょっと勿体ないよな。

 その昔、製鉄の街として栄えたがいまはその面影もないフェリントン(架空の街だがオハイオ辺りをイメージしてる感じ)。そこで画期的な小型原子炉を開発している会社に雇われたコルターの仕事は社員によって持ち去られた画期的な核燃料制御安全装置(SIT)の奪還。持ち前の機知と用心深さでなんなく任務に成功した彼はC.E.Oハーモンに新たな仕事を依頼される。

 それは件のSITの発明者でもある社員アリソン・パーカーとその娘ハンナの捜索。酒に酔ってアリソンを殴ったとして刑務所に入っていた元夫ジョン・メリットが予定より2年も早く仮釈放になったが、彼は出所前刑務所仲間に「出たら元女房を殺しに行く」と言っていたとの情報がはいったのだ。ジョンがアリソンの家に現れる寸前、そのニュースを知ったアリソンはハンナを連れて行方をくらました。

 アリソンはすべてのSNSを退会、長距離バスのチケットを買いながら乗らずにレンタカーに乗り換えるなど見事に痕跡を断ったが、事態を把握していないハンナが潜伏先のモーテルの近くで撮った自撮り写真をインスタグラムに上げてしまう。そこに現れたのはジョンでもコルターでもない第三の追跡者…。

 オビに「ドンデン返し20回越え」とかって書いてあるので(ところで「「ドンデン返し」って英語でなんていうんだろ?)こっちも結構身構えながら読むのだが、20回はともかく、やっぱり何度か「え?そうだったのか?」と驚かされてしまった。やっぱりディーヴァーは達者だわ。


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