ジェフリー・ディーヴァーによるリンカーン・ライムシリーズの最新作…と言っても去年の9月に出た翻訳である。家庭の事情で出勤というのをしなくなってからめっきり本を読む時間が減った。なのに面白げだと思った本はすぐ買ったり借りたり(図書館に予約したり)するので、読まなくちゃ本が溜まるばかりである。
そんななかようやく読み終えた本作、題名から解るようにシリーズの7作目に出てきた殺し屋ウォッチメイカーことチャールズ・ヴェスパシアン・ヘイルが再登場。逃亡先のヨーロッパから整形で容姿を変えて舞い戻り、自分の邪魔をした「砂粒」リンカーン・ライムの命を狙う。
ニューヨーク市内の高層ビル建築現場で、突然大型クレーンが転倒。付近の建物への衝突は防げたものの作業員が死亡。ネットの匿名掲示板に寄せられた犯行声明は富裕層向けの都市計画に反対し、普通の市民が住める公営住宅を建設せよ、と要求していた。応じなければ24時間後にまたどこかで大事故が起きる…と。
市警のロン・セリットーを通してこの件の捜査依頼を受けたリンカーンは妻アメリア・サックスを現場に向わせる。派手な爆発もなしにいったいどうやって巨大なクレーンを倒すことができたのか。微細証拠の採集を始めたアメリアは突然咳き込み昏倒してしまう。救出された妻がもたらした微細証拠からリンカーンはある恐るべき結論に達する。「犯人はチャールズ・ヘイル、ウォッチメイカーだ」と。
いつにも増して錯綜する事態、事件がやがてチャールズとリンカーンという二人の「軸」によってキレイに巻き取られて行く展開はさすが。やっぱりこのシリーズは面白いなぁ、と巻末の訳者あとがきを読んでたら、この前作「真夜中の密室」というのを読んでないことに気付いた(その前の「カッティング・エッジ」は読んでる)。読まねば。
