おすもうさん 高橋秀実著

 元横綱の曙が亡くなった。その話題である民放のコメンテータが「高見山関が横綱になれなかったのは外国人だから、という噂を打ち消すように…」曙が横綱になったと与太を飛ばすのを聞いて(そもそも高見山は最高位が関脇である。外国人だから云々言われたのは小錦)、この本のことを思い出した。

 日ごろ我々が相撲に関して疑問に思っている,のだけれどなぜかNHKの大相撲中継の合間にやってる「相撲一口メモ」とかでは取り上げてもらえない謎ってあるでしょ?

 例えば,なんで相撲の神様が3柱(戸隠大神,鹿島大神,野見宿禰)なのか,行司は審判みたいなのになんで床山とかと同じく「どっかの部屋」の所属なのか,両国国技館の中に入ると書いてある東西南北はなんで実際の方位とズレてるのか,ラジオ放送が始まる前,立ち合いの制限時間がなかったときには呼吸が合うまで30分も1時間も仕切りをやってたってホントなのか等々…に,あの「カラスがカー」的ルポライター(命名は斎藤美奈子),我らが高橋秀実が例によってもっさりのんびり斬り込んでいくのである。

 ここでその結果というか彼が到達した驚天動地の真実を明らかにしてしまうのは絵に描いたようなネタバレ,というか限りなく営業妨害に近いブルーめくので書かないが,とにかくここに暴かれた「相撲の真実」の意外性ときたら,ヒトによっては「実はマツコデラックスがホントのホントは女性なんですよ」と聞いてもこれほどまでにショッキングではないのではないかと想像できるほどのもんなのだ。

 もちろん思わずその名前に「我らが」とつけちゃうほどこのヒトの本のファンであるワタシなどにとっては(ま,意外は意外,驚きは驚きなんだけど)かなーり「さもありなん」だったりするんだけど,その「さもありなん」がまたクセになるほど面白いのである。

 うーん,ここまで書いて読み返してみるとやっぱり隔靴掻痒というか,この胸に溢れる「ゼヒトモヨンデイタダキタイ」という気持ちというか熱が今ヒトツ伝わらないような気がして不満である。そうそうこっち方面も攻めてみましょう。上に掲げた「大相撲の謎」のほかにもっとワイドショーや週刊誌的な謎も解けます。例えばあの朝青龍巡業サボってモンゴルでサッカー事件のとき,急遽現地に飛んだ今は亡き大ちゃんこと高砂親方がどうして記者会見で「温泉に入りましたお肌スベスベ」ってな発言をしたのかも…理解できます(たぶん)。


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